現状維新デザインとは何か?_02_デザインの新しい役割。_The role of design is shifting.

最近ではビジネスシーンでも「デザイン思考」「アート思考」と叫ばれるようになった。

デザインと聞くと、ほとんどの人は問題解決のためのデザインを思い浮かべる。アートでさえ、その目的は審美的な問題解決だと思われている。「成長や持続のためにデザインやアートが効く」という触れ込みで広まってしまっているのだから、いよいよ浅ましい。

例えばSDGsに加担するデザイナーたちは、人口過剰、水不足、気候変動といった難題を力を合わせて解決したいと言う衝動に駆られている。まるでそういう問題を細分化し、定量化して、解決できる、とでも言わんばかりに。

確かに、デザイナー特有の楽観主義的な性格的には、他の選択は無い。けれど、現代のぼくたちが直面する課題の多くは解決不能であり、これらを克服するためには、システムを改善するというよりも、人々の価値観、信念、考え方、行動を変えるしか手はない事は明らかだ。

デザインと言う楽観主義、つまり、デザインで何でも解決できるという説は、大抵の場合は必要なものだけれど、場合によっては状況をより悪化させる危険性も秘めている。

第一にそれは、ぼくたちの直面する問題が見かけ以上に深刻であると言う事実を否定することにつながる。第二に、世界を形成しているぼくらの頭の中の考え方や見方ではなく、目の前の世界そのものに手を加えることに労力と資源を注ぎ込みすぎてしまうこと。

残念だけれど、デザインは万能ではない。

けれど、全てを諦めるのは早い。

デザインには別の可能性がある。デザインを、システムを改善するためではなく、一人ひとりの頭の中にある物事の可能性を拡張するための手段として用いるのだ。

デザインを、問題解決の手段ではなく、「並行世界への出入口を設えること」として再定義したい。

この、新しいデザインをぼくは、旧型のデザインと区別して「現状維新デザイン」と呼んでいる。


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