2020年。「不信の停止」の表明。

こんにちは。デザイナーの福田泰仁です。2020年1月という節目のタイミングに、この10年間、デザイナーとしてどういう態度で仕事に向き合うかを決めたので、その理由とともに、ここに書いておこうと思う。

2010年代は、ぼくにとって激動の10年間だった。藝術活動の断念。デザイナーとしての就職。イラストレーターとしての独立。ブランディングデザイナーへの転換。夫になり、父になる。都内から地方への転居。経済興隆至上主義から人間非中心主義への転換…。

世界にとってもきっと激動の10年間だったんだと思う。スマートフォンの普及。UberやAirbnbなどのシェアリングエコノミーの台頭。ビットコインの拡大とその消失事件。スノーデンの告発。ISIS。オバマとトランプの当選。9.11と3.11…。

ぼくは、普段ニュースも見ないし、世界のそういう蠢きに対して、割とチャランポランだ。けどきっと、こういう世界の蠢きがあったから、その中に身を置くぼくの体験や、それに基づく価値観も、バタフライエフェクト的に影響を受けてドタバタと変わっていったんだと思う。

間接的ではあれど、ぼくに大きな衝撃を与えた事件たち。こういう事件のたびに、世界は今までとは違う方向へと舵を切られて、その先には新たな未来が広がっているように思えた。

けど、こういうニュースを目にしても、ぼくが想像できる未来は、広がるどころかむしろ狭まっていったように感じる。

拡大する格差とテロリズム。高齢化と移民問題。地球温暖化と食料問題。人間を凌駕するテクノロジーと自然現象…。2020年におけるぼくの価値観は、2010年のそれよりもさらに収束し、多くの人と同期し、単一化していったように思える。

さらに皮肉なことに、本来価値観の単一化に異を唱えるはずのアートやデザインという活動が、その注目の高さ故に、社会の中で単一化したイメージに陥っているというジレンマすらある。デザイン思考って問題解決だよね。とか、ミニマルでシンプルな方が売れるんでしょ。とか、マーケティングツールとしてデザインは欠かせないよね。とか。

それでも、デザインは、お金を動かす道具としてだけで終わってはいけない。そのお金をきちんと美しく運用し、実際の技術なり活動なり運動へと現実をシフトさせていく可能性を持っている。

すべてのデザインは、現状維新のためのツールである。あらゆるデザインは、大なり小なり、新たな提案をしている点においては現状への批判であり、革新的だということだ。

ぼくは、「ぼく自身が生み出す美しいデザイン」が提示するフィクションを一時的に受け入れよう。不信を停止しよう。毎日のようにデザインが提示してくる問いに向き合おう。「自分が本当にほしいものは何か?」「それをデザインでどうやって手に入れるか?」「今、何をつくるべきか?」と、自分に問いを投げかけよう。

2020年代。不信を停止しよう。

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